INTERVIEW

我々の責任は
一番いいものをつくること

〜 ルイボス社代表 クリントン・ガス氏インタビュー 〜

サーフィンと仕事が両立できる大磯

ルイボス社は、大磯駅から徒歩15分、海と山が近い住宅街にある。クリントン氏はなぜ、大磯を選んだのだろうか?
「南アフリカは都会もあるけど、やっぱり自然が多い。自然に囲まれていると、心が広くなり、いろいろなアイデアが出ます。それと、ルイボスティーというライフスタイルに寄り添う商品を扱うので、自分のライフスタイルを大事にしたい。大磯は13年目になりますが、海も山もあり、私の理想にぴったりですね。特に海。私はサーフィンが大好きだから」

色が濃いほど、おいしいはウソ

世界を放浪していた時に日本を訪れた際、南アフリカ人と名乗ると、誰もが「あの面白いお茶の……」と言ってくれた。それが今の職業に就くきっかけだ。以来20年、原料のシェアはルイボス社が日本全体の50%を占めている。日本全体のルイボスティーの年間輸入量も300トンから2,000トン超に増えた。それでも、クリントン氏は警鐘を鳴らす。

「市場が大きくなった分、正しくない情報、よくない商品が増えています。例えば、ルイボスティーの有効成分。インターネットでは、ミネラルやビタミンが入っているという記事が目につきます。でも、実際はほとんど含まれていない。成分で特筆すべきはポリフェノールです。色の濃いものほどおいしいという触れ込みで販売されている商品を見かけますが、これも間違いです。色の濃いものは風味やポリフェノール量が落ちていることがあり、色だけでは判断できない。消費者が誤解していることがたくさんあります」

水出し人気に応える
日本向け商品専用新ライン

今春、ルイボス社は日本商品向けの新規製造ラインを稼働させた。
「新規製造ラインが必要な理由は二つあります。ひとつは、水出しの飲み方が人気になってきたことです。お湯で飲む場合、茶葉の微生物は気にしなくてよい。でも、水出しの時はやっぱり気になる。そこで我々は、安全に水出しを楽しめるように、微生物検査に厳しい新基準を設定しました。

南アフリカの殺菌機で長時間、何度も殺菌すればこの基準をクリアすることもできるでしょうが、その分風味が落ちる。効率がいい殺菌機が必要だと思いました。新規製造ラインでは、127℃の高温・高圧の殺菌機で、たった一度処理するだけで基準をクリアできます。殺菌時間もこれまでの60秒以上から、4.5秒に短縮できました。

二つ目は、異物の除去を徹底するためです。ルイボスは刻むのが大変な、すごく硬い植物です。だから細かく刻もうとすると裁断機の刃の金属が溶けて、微細な粒子が茶葉にくっついてしまうんです。それと、裁断したら、外に広げて発酵させて、乾燥させる。当然、砂や石も入ります。それらを徹底的に除去して、日本の厳しいお客さまの期待を超えるくらい、可能な限り安全なお茶を作りたい。そこで、金属探知機や石取り機は、日本からの最新機器を導入したのです。
新規製造ラインによって安全で、おいしいルイボスティーを提供できるようになりました」

目指すのは正直なビジネス

新規製造ラインに投資した金額は総額で2億5千万円に上る。クリントン氏の信念が南アフリカの本社にも伝わった。「安全性、品質、おいしさ、全てそろったルイボスティー。我々がこれから作っていくものが、スタンダードになってほしいと思います。おそらく他社も我々の技術を参考にするでしょう。それでも、ルイボス社のルイボスティーじゃないと納得できないというものを作っていきたい。日本で事業を始めたときから、『正直なビジネスをやりたい』という目標は一切ブレていません。

信頼性が高く、品質のよいものを日本のお客さまに届けたい。最近特に強く思います。我々の責任は、一番いいものを作り、一番正直な情報を出していくことだと思っています」


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