そもそもポリフェノールって何?
ルイボスだけが持つアスパラチンとは?
ポリフェノールとは植物が持つ抗酸化物質です。
はじめに渡辺先生が携わっている
業務について教えてください。
業務について教えてください。
タマ生化学は、天然物から有効成分を取り出して医薬品や機能性食品の素材を作っている会社です。私はこれまで研究開発に携わっていて、その中の一つに非発酵のルイボスがありました。ルイボスにはアスパラチンというポリフェノールの一種が含まれており、これに面白い機能があることを大学との共同研究で発見しました。
そもそもポリフェノールとは
どういうものなのでしょうか
どういうものなのでしょうか
ポリフェノールとは、ほぼすべての植物が持っている苦味や渋味、色素の成分です。自然界に多く存在し、その数は8,000種類以上ともいわれています。食品では赤ワインやコーヒー、お茶などに多く含まれており、化学構造の違いによってさまざまな種類があります。カテキンやイソフラボン、アントシアニンなどもその一種です。
ポリフェノールには
どのような機能があるのですか
どのような機能があるのですか
最も有名なのは、体に有害な“活性酸素”を取り除く抗酸化作用です。私たちは呼吸によって大量の酸素を取り入れていますが、そのうちの約2%が活性酸素になるといわれています。もともと活性酸素は、体内に入り込んだ細菌やウイルスを撃退する役割などを持っていますが、増え過ぎると正常な細胞や遺伝子までも攻撃してしまいます。さらに、活性酸素よって肌が酸化し、しわ・しみ・たるみなどを引き起こしたり、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病を招いたりするといわれています。
ルイボスに含まれる
アスパラチンについて教えてください
アスパラチンについて教えてください
アスパラチンはルイボスだけに含まれるポリフェノールです。ポリフェノールというすごく大きな枠の中にフラボノイドがあり、フラボノイドの中にアントシアニンやカテキンなどがあり、アスパラチンはその中でも少し外れたところに位置する化合物です。
アスパラチンもポリフェノールの一種なんです
アスパラチンには
どのような特徴がありますか
どのような特徴がありますか
一つは抗酸化機能の強さです。緑茶にもカテキンという抗酸化物質が含まれていますが、アスパラチンの抗酸化作用は、他のポリフェノールよりも高いことが実験で確認されています。
他にはどんな働きがあるのでしょうか
アスパラチンは、血糖の骨格筋への吸収を促進させる働きがあります。高血糖になると、生体組織を構成するタンパク質に糖化が起こり(メイラード反応※1)、タンパク質の機能が低下します。その結果、肌のしわ・たるみにつながってしまいます。さらに、糖化したタンパク質(最終糖化生成物:AGEs※2)が細胞に沈着すると、黄色っぽくくすんで見えてしまい、透明感のない肌感になります。それだけではありません。アスパラチンは、痛風の原因となる尿酸の産生に関わる酵素反応を抑制し、その過程で発生する活性酸素を抑えることも明らかになっています。
※1:体内で余った糖とタンパク質が、体温によって結合すること。
※2:体内の糖化によって生まれ、老化を促進する物質といわれている。
活性酸素を抑制するだけでなく血糖値の上昇も抑えます。
抽出されたアスパラチンは、
どのような製品に利用されているのでしょうか。
どのような製品に利用されているのでしょうか。
粉末や錠剤カプセルに加工後、サプリメントやドリンクに利用されています。ポリフェノール素材にはさまざまな種類がありますが、非発酵ルイボスエキス粉末(アスパラチン20含有エキス)をなめてみると、茶カテキンなどに比べて苦味があまりない。ポリフェノールというと苦味や渋味があって当たり前なのですが、非発酵ルイボスエキスに関してはそこが特殊で、私の知る限りでは他にありません。
高カテキンなどのお茶も苦いですよね。
それでは、なぜ非発酵ルイボスエキスは、苦味や渋味を感じづらいのでしょうか?
それでは、なぜ非発酵ルイボスエキスは、苦味や渋味を感じづらいのでしょうか?
ポリフェノールは、ある一定の分子の大きさや形によって渋味が強く感じられるものがありますが、アスパラチンは比較的小さな分子で、またその分子構造から苦味の受容体をすり抜けているのではないかと考えています。
教えてくれるのは
こちらの先生
渡辺 剛 先生
( 昭和女子大学 女性健康科学研究所 客員研究員)農学博士。日本大学文理学部卒業後、1985年にタマ生化学株式会社に入社。天然物由来成分の精製・分離および合成研究に携わり、公的機関との共同研究にも参画。2002年、植物化学調節学会より奨励賞を受賞。
ポリフェノールが
生まれる仕組み
ポリフェノールは
何から取るべき?
ポリフェノールはごぼうやほうれん草、ブロッコリーといった野菜にも含まれていますが、含有量が少ないため、野菜だけで摂取するのは大変です。その点、赤ワイン、コーヒー、お茶などの飲料は含有量が多く、しかも手軽にポリフェノールを摂取できます。実際に日本人の食生活を調べた研究では、飲料からポリフェノールを摂取している割合が高いという結果が報告されています。
ただ、飲料で摂取する際に気をつけたいのが、コーヒーや紅茶、緑茶に含まれているカフェインや、赤ワインに含まれるアルコールです。カフェインを取り過ぎると中枢神経が過剰に刺激され、不眠やめまい、震えといった症状が現れますし、アルコールの飲み過ぎも当然、体に良くありません。ポリフェノールは、何から取るかがとても重要なのです。